酒蔵訪問:栗林酒造店(秋田)
こんばんは。
超久しぶりに酒蔵訪問レポートです。やっぱり冬は、できるだけ酒蔵訪問したいですからね!
実は、前回の熊谷でカキ氷食べた後に高崎に行ったのは、東北新幹線に乗るためでした。で、そのついでに高島屋を視察したわけです(笑)。
今回の東北旅行では、2つの酒蔵を訪問させていただきましたが、そのうちの1つはブログやSNSへのUPはしないで欲しいとのことでしたので、ご紹介するのは、残る、もう1つの蔵、「春霞」を代表銘柄としてもつ秋田の栗林酒造店です。
「春霞」に関しては、以前も、このブログで書いたことあるのですが、昨年6月に池袋で行われた全国新酒鑑評会公開きき酒会で、入賞酒が殆ど同じような香り・味わいである中で、口に含んだ瞬間に「違う!」と感じさせてくれたお酒でした。
もともと、地元の酒屋さんにもコンスタントに置いてあるお酒なので、時々飲んでいて、バランスの取れた繊細な味わいが好きでしたし、秋田の酒蔵5つで構成する大注目のコラボ「NEXT5」の一員でもあることから是非訪問したいと思い、今回、メールを送ったところ、
「午後ならばOK」
とお返事をいただいたので行って参りました。
NEXT5では、毎年、共同醸造酒を造っているのですが、今年は栗林酒造店がホスト蔵となって酒造りを行うとのことで、実は、この日の午前中、新政の佐藤佑輔さんと、ゆきの美人の小林さんの2人が来ていて酒母造り?の作業をして帰って行ったとのことでした!ニアミスでしたね(笑)。
今回は仙台に宿をとっていましたので、大曲駅までは東北新幹線で乗り換えなしで行けて約1時間40分ほどで着くことができました。蔵に一番近い駅は大曲で奥羽本線に乗り換えて1つめの飯詰駅なのですが、無人駅っぽくてタクシーも台数が少なそうですし、秋田も大雪が降っていて電車のダイヤが乱れる可能性も高かったので、大曲駅からタクシーを使い、20分ほどで到着しました。
栗林酒造店は1874年に、ここ秋田県六郷村(現在の美郷町)に創業された蔵で、この辺りは豊富な地下水に恵まれていたことから最盛期は20以上の酒蔵があったとのことです。
まずは、事務所の横にある応接で、栗林さんから酒蔵の歴史、特徴、こだわりなどを教えていただきました。
ホームページにもありますが、昭和44年から、亀山さんという地元出身の杜氏さんが酒造りを指揮し、昭和60代には全国清酒鑑評会で7度も入賞するなど輝かしい実績を残されたようです。
平成20年に亀山杜氏が引退なさった後は、栗林さんが製造責任者として、自ら酒造りを行なっておられるのですが、今でも、亀山杜氏時代のお酒造りの手法は、蔵の特徴として色濃く引き継がれているとのことでした。わかりやすいところで言えば、酵母は今でも、当時と同じ9号酵母(熊本酵母)、もしくは、その変異株を使っておられます。
その昔は新酒鑑評会の金賞受賞酒の殆どが9号酵母を使っていましたが、今は、激減しておりまして、逆に前述の「きき酒会」では、9号酵母を使用している入賞酒は殆どなかったことが、私が新鮮な味わいに感じた1つの要因だったのかも知れません。
栗林さんによると、蔵の水や美郷錦、そして蔵が採用している酒の醸造手法などと9号酵母が相性が良いのではないか?とのことでした。
終始、穏やかにお話しになる栗林さんは本当に優しいお人柄が滲みでる感じで、個性的なメンバーが多い中で、
「NEXT5の良心」
と呼ばれているのも頷けました。
そんな栗林さんが、熱く語って下さったのが、蔵の酒造りの将来像で、
現在の原料米である美郷錦の使用割合60%を、将来的には100%にしたい!
というものでした。
何と言っても、蔵のある場所が「美郷町」ですしね!
美郷町にある酒蔵として、地元で育てて収穫した美郷錦を原料とし、地元の水を仕込み水に使い、酵母も9号酵母をベースにした蔵の変異株を使って、「土地に根付いた酒造り」を行いたいということのようです。
最近は、やはり、こうした考え方の酒蔵が増えてきましたよね。「地酒」を名乗るわけですから、基本は、そうあるべきなんだろうと私も思います。
そして、春霞というお酒の印象について私の方から、
「とにかくバランスが良いお酒。香りも強過ぎず、味わいも濃過ぎず淡白過ぎず、酸味もほどほどで、もちろんお酒そのものも楽しめるけど食中酒として最高!」
という話をしたところ、
「何か突出している要素がないってことですよね」
と、笑顔で答えて頂きました。
その上で、
「今の味をベースにしつつも、その時代・時代に合わせて変化もしていきたい」
とおっしゃっていました。
さて、そして、いよいよ蔵の中を案内していただきます。
洗米は、この洗米機で行なっているそうです。
「麹室」の文字が立派でしたが、さすがに中には入れてもらえませんでした。
仕込み蔵への入り口が雰囲気あります。
仕込みタンクが整然と並んでいます。床面は最近綺麗に補修したそうです。
これが美郷錦を35%まで磨き9号の変異株を酵母として使った大吟醸になるタンク。
そして、コチラが酵母が9号酵母のタンク。
この2つのうち、いずれかを新酒鑑評会に出品することになるそうです。
ですので、この2つのタンクに関しては極めて細かい温度管理を行っているとのことで、醪に温度計を差しっぱなしになっていて、その温度計から何やらコードのようなものが延びて空中で発信機のようなものに繋がっていました。
栗林さんによると、蔵の中にWiFi環境を作って、温度のデータをスマホに飛ばすことが出来るようにしたとのことで、リアルタイムで醪の温度を管理できるようになったそうです。スマホの画面を見せてもらいましたが、温度の変化を表す折れ線グラフが表示されていました。
搾りは、やはりヤブタでした。
そして、奥には冷房設備を新設した貯蔵スペースがありました。
そのずっと奥にも蔵は続いていまして、貯蔵庫のようです。
そうなんです。この蔵、ずっと縦に一直線に続いている構造になってまして、その長さは100メートルにも及ぶということで「一本蔵」と呼ばれているそうです。
いやあ、本当にお忙しい中、私のような者にお時間を下さった栗林さんに感謝です。
本当に有難うございました!
駅のホームも雪が積もってきているような状況でしたが、「こまち」は遅れずに走っていました。
次は仙台の飲み屋のレポートです!お楽しみに!
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