酒屋さんで驚愕の日本酒体験!
昨日、GINZA SIXに立ち寄って、地下二階にある酒屋さん「IMADEYA」さんに寄って、日本酒を物色し、レジで支払いをしていたら、カウンターの右側に、どこかで見覚えのある方が、お客さんのグラスに日本酒を注いで、お酒の説明をなさってまして、気になって様子をうかがっていたら、店員さんが、
「今日は、新澤醸造店の蔵元さんがいらしてくださってます!」
と大きな声を出されて、
「おおお、そうだ!新澤さんだ!」
と思い出して、会計を済ませて、そちらに移動。
何が飲めるのか?と聞いてみたところ、
①伯楽星 純米吟醸
②伯楽星 純米大吟醸
③残響
④NIIZAWA KIZASHI
⑤NIIZAWA
の5種類とのこと。①②は、飲んだことありましたが、③は名前は知っていたものの、飲んだことはなく④⑤は、勉強不足で存在すら知りませんでした。
どうしようかと悩んでいたら、新澤さんから、
「③④⑤を同時にグラスで飲める機会は、まずないです!貴重ですよ!」
とのお言葉。
確かに、ボードに書いてあるお値段を見て、ビックリ!
いずれも税抜き価格ですが、ボトルが③30,000円、④40,000円、⑤60,000円ですよおおおおお。
全て四合瓶ですから、一合当たり各々、7,500円、10,000円、15,000円ということです・・・・。
新澤さんによると生産本数は、確か、③だけ2,000本程度あるけど約半分はラスベガスへ輸出されていて、MGMなどの高級ホテルのレストランで1本2,500ドル(30万円弱)でオン・リストされていて、④と⑤は各1,000本程度だそうです。
日本でもミシュランの二ツ星や三ツ星の和食店で幾つか飲めるお店はあるようですが、グラスでの提供はなく、ボトルでオーダーすれば、当然、大変な金額になってしまいます。
昨日は休肝日にしようと妻と約束していたこともあって、ちょっとだけ悩みましたが、日本酒に関わるものとして、
「この機会を逃してはいけない!」
と思い、気がつくと財布からお金をお支払いしていました。
その商品自体の希少性もさることながら、フラっと立ち寄った銀座の酒屋さんで、殆ど、マンツーマンで新澤さんと、これらのお酒について試飲しながら話をする機会を得ることができるなんて、まさに天からのプレゼントだ!と思ったんですよね。
前置きが長すぎますね・・・(笑)。
さて、それでどうだったのか?
驚愕しました!
飲んだ瞬間、鳥肌立ちました!
そして、その鳥肌を見た新澤さんに喜んでいただきました(笑)。
新澤さんからは、①から⑤まで順番に飲んでいくように勧められまして、①と②は相変わらず綺麗な酒質で美味しいし、やっぱり究極の食中酒を目指すという蔵のコンセプトが感じられるもので、広くお勧めできるお酒だと再認識しましたが、飲んだことあるお酒ですし、もう自分の関心は③④⑤に集中してましたので、やや上の空でした・・・。
そして、いよいよ今日の主役にいくわけですが、その前に、この三つのお酒の主なスペックやら、お聞きしたエピソードなどを書きたいと思います。
<精米歩合> 7%
日本一、すなわち世界一削ったお米で造っているお酒で、何と原料米の93%を削ってしまっています。新澤さんからサンプルをいただけたので、食用米と大きさを比べてみました。直径は1mmあるかないかという美しい球状の白い粒です。お米が割れないように約2週間かけて、ゆっくりとお米を削っていくんだそうです。
<使用米> 宮城県産 特別契約栽培米 蔵の華 100%
以前、山田錦を使ったこともあったとのことですが、山田錦を同じ精米歩合まで磨いて、洗米して浸漬したら、笊の目をすり抜けてこぼれてしまったそうなんです。山田錦は柔らかいので、慎重に洗米しても米が摩擦で削れたりして、更に粒が小さくなってしまったということなのかもしれません。
ですので、硬質米の蔵の華を使うことを決めたそうです。
<アルコール度数> 16%
3種類とも全てアルコール度数は同じで16%だそうです。
<酵母> 蔵付き酵母
3種類ともに、同じ蔵付き酵母を使っているそうです。この酵母は、震災の被害にあった移転前の蔵に保管されていたもので、建物は甚大な被害を受けられたものの酵母は無事だったとのことです。
新澤さんによると、お米本来の持つ香りを究極的に引き出したいので、フルーティーな香りを強烈に生成する酵母は使いたくなかったとのことでした。
さて、話を戻しまして、この3種類のお酒の香りや味わいについて書きます。
まず、香りですが、これは3種類とも、ほぼ同じで、
米由来の甘く上品な香りが中心で、若干みずみずしい白桃のような香りも感じられる
といった印象でした。よく「白ワインみたいな香り」という表現を用いて、日本酒の香りを説明することがありますか、
「白ワインとは全く違う種類の香り」
で、独特なものであり、これこそ正真正銘の「Rice Wine」といえるのかも知れないと感じました。
口に含んで見ると、3種類ともに、凄い透明感で一点の雑味もありません。
でも、まあ、ここまで米を磨いて、タンパク質やら脂肪分やらを除去しているんだから、非常に綺麗なスッキリとしたお酒なんだろうと想像はできましたが、これらのお酒の凄いところは、
綺麗なだけでなく、インパクト、飲みごたえもある
というところです。そして、それはどこから感じるのか?というと、
「甘み」
なんですよね。
甘みも、もちろん、味わいの極めて重要な要素ですけど、含み香による果実感とか、雑味と表裏一体の旨味とか、はたまた苦味とか、酸味とかが複雑に絡み合って「味わいの骨格」を形成していき、それの「どの部分」が強調されているか?、または削ぎ落とされているか?が飲み手の好みであり、造り手のこだわりでもあるんだろうな、と漠然と思っていましたが、このお酒を飲んで、
余計なもの全て削ぎ落としてしまえば「甘み」だけで味わいを表現できる
のかも知れないと思いました。
そして、この3種類のお酒ですが、どれも強い甘みを舌に感じるのですが、その強さが
③ ➡️ ④ ➡️ ⑤ の順番に強くなっていく
のです。
HPによれば、⑤のNIIZAWAで糖度が4、④のNIIZAWA KIZASHIで3ということなので、相当高いですよね。ですから、アルコール度数が特段高いわけでもないのに、かなり粘性が高くて、⑤などはワイングラスを回すと内側に「涙」が発生します。
でも、全くベトベトした舌触りはなく、スッと切れます。酸度も1.4とか1.5で普通ですし、実際に飲んでも酸味は殆ど感じませんから、酸で切ってるわけでもないですよね。不思議です。糖の種類が違うのかなあ。
新澤さんもおっしゃっていましたが、ワインでいうと、あの有名な、
シャトー・ディケム
のような日本酒です。
媚びた香りは一切なく、独特の香りを持ち、透明感の中にも極上の甘みを持つ
自分は、ハーフボトルで食後酒的に飲むことが多くて、それはそれで幸せになれるのですが、レストランでは、食中酒としてフォアグラに合わせたりすると驚くほどマッチしてしまう、そんなディケムと確かに重なる気がします。
同じお米、同じ精米歩合、同じ酵母での、この味わいの違いの要因についてお聞きしたところ、
「造りを変えてます!」
とのシンプルなお答えいただきましたorz。
麹造りから全て変えているとのことで、そんな短時間で説明できるようなことではないのでしょう。
でも、このお値段の違いを考えると、醪を搾った時の酒粕の割合である「粕歩合」は、どれも相当高いことは間違いなく、⑤なんて凄いことになってるんだろうなと思います。聞けばよかったです・・・。
考えてもみてください!もともと米の93%を削っていて、仮に粕歩合が70%だとしたら、原料1,000kg使ったとして、実際にお酒になるお米は、
原料米1,000kg ×0.07 ×0.30=21kg
となるんですよ!たった21kgですよ、奥さん!
いくら、硬質米とはいえ、これだけ削っていれば、溶けやすくはなっているでしょうから、それを一気に発酵させないで、低温で長期間じっくり発酵させていくことは極めて高度な技術が必要ですし、リスクとも隣り合わせで緊張の連続なんだろうなと素人ながら推測します。
これは高くても仕方ないです。いや、むしろ高くて当然でしょう。ブルゴーニュワインを始め、ワインの世界では、当たり前の値段ですからね。日本酒の国際化の一つのSTEPとして、こうした高級酒のカテゴリーが確立されることも必要だと思います。
話をお酒の味わいに戻しますと、ワイングラスに注いでもらった段階では、しっかり冷えていたお酒が、徐々に温度が上がっていくに連れて、
香りも、より華やかに、味わい・甘みも、より際立っていく
のです。
ワインのボトルを開けた時と同様に、時間の経過による変化も楽しめるわけですね。
いやあ、本当に素晴らしい体験でした!
飲んだ後、体の中が隅々まで浄化されたような感覚があり、疲れも吹っ飛びました。
最後に余談ですが、新澤さんに、自分も、酒好きの友人も普段は伯楽星特別純米を良く飲んでいるという話をしたところ、
「実は、特別純米はお燗をつけても美味い!」
ということを教えていただきました。
「伯楽星といえば冷酒!」
というイメージですし、造り手側としても、そういう造りを目指しているとのことなんですが、特別純米を、多少粗っぽい感じでもいいので、燗づけすると、めちゃめちゃ美味しいことがわかって、蔵人の中でも、そうした楽しみ方をしている人も多いそうです。
これは良いことを聞きました。今は、暑すぎて無理ですけど、秋以降に是非、チャレンジしたいです!
今回は、本当に思いもよらず素晴らしい体験ができました。
IMADEYAさん、新澤さん、本当に有難うござました!!
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