浅田真央選手の引退と日本酒!?

フィギュア・スケートの浅田真央選手が先日、引退を発表したのは、連日の報道によって皆様もご存知のことと思います。日本酒ブログに何故、浅田真央?と思われるでしょうけど、実は私は、何を隠そう、浅田選手の大ファンで、殆どの試合やショーを観戦に出かけて応援をし続けてきました。

そして、今回、何故、彼女が、こんなにも多くの人に愛されるのか?何故、日本国内のみならず、世界中の多くのファンが彼女の演技に魅了され続けてきたのか?といったことを改めて考えてみると、色々と日本酒と結びつく点も多いことに気がつきましたので、以下、幾つか挙げてみます。

①基本を大切にし、かつ向上心を忘れない

浅田選手はバンクーバー五輪で銀メダルを取ったにも関わらず、更に自分自身の技術を向上させるために、それまで自分が身につけていた滑りの基本技術を全て、一から見直すことに着手しました。そして大変な苦しい期間を経た後、誰にも負けない本物の美しいスケーティング技術を手に入れました。ですから、彼女の演技はジャンプだけでなく、その美しいスケーティング、ステップやスピンなどを含めたトータルでの「作品」として我々に迫ってくるわけです。

日本酒造りも、やはり、良いお酒を醸すために、良い醪の発酵環境を作るためには良い麹、良い酒母、良い蒸米が必要で、それらを得るためには、きちんとお米を洗米し、適切な水分を吸水させなくてはいけない。要するに全ての基本技術が繋がっていて、それが高いレベルで達成された上で、香りだけでなく、味わい、酸味、旨味などが絡み合うトータルの「作品」となっているお酒が感動を呼ぶのと同じですよね。

②本物であることの凄み

浅田選手といえば、トリプル・アクセルという報道のされ方をします。実際、彼女の、この技へのこだわりは半端なかったですし、それが競技を続けていく上でのモチベーションにもなっていたのでしょう。しかし、本来、キックボクシングにおける「真空跳び膝蹴り」のような(古!)、「必殺技」であるべきトリプル・アクセルという最も難度の高いジャンプをバンクーバー五輪で3回も成功させても、大差で敗れて銀メダルに終わりました。「採点競技の難しさ」という言葉では済まされない異常事態に相当ショックも受けたはずです。しかし、そこから彼女は想像を絶する努力で技術を磨き、更に難度の高いジャンプ構成を取り入れ、最高のスケーティング技術に裏打ちされた芸術性との融合に成功し、まさに「本物のレジェンド」というべき存在になりました。そして競技に対する真摯な姿勢、魅力的な人間性もあって、国を超えて多くのスケーター達に尊敬され、多くのファンに感動を与え続けてきました。「本物」であれば、それは人に確実に伝わり、国境なんて容易に越えることができるんです。

日本酒にも、全国新酒鑑評会に代表される様々なコンペティションが開かれています。酒蔵にとって、新酒鑑評会で金賞を取ることは栄誉であり、技術を磨くためのモチベーションでもあり、もちろん、金賞を取ることによって蔵の広告宣伝にもなりますから熾烈な戦いが行われるわけです。(現在の酒類総合研究所が行う鑑評会について賛否両論あることは、ここでは割愛します)しかし、その審査基準が、「香り重視」の傾向が強かったことから、各蔵も出品酒に関しては、とにかく良い吟醸香を引き出すために、米は山田錦を使い、香りの出やすい酵母を使い、純米酒でなくアルコール添加したものが殆どを占めてきました。しかし、本当に消費者に長く愛されるお酒というものは、こうした鑑評会仕様で造られたお酒ではなく、各々の蔵が、独自の”こだわり”を持って、理想を追求した個性溢れるものであるはずです。世界市場に進出するためには、ワインを意識する必要があるのは当然ですが、それ故に、安易に低アルコールや香り重視といった方向に舵を切るのではなく、米・麹・水という原料から素晴らしい高度な技術を駆使して醸す「本物の日本酒」で正面から勝負していけば、自然と道は開けると信じています。

③フィギュア・スケート・ブームと日本酒ブーム

浅田真央という素晴らしいスケーターが登場してから10年余り、フィギュア・スケートの人気は急上昇し、どの試合も観客で溢れ、試合はテレビのゴールデンタイムで放映され、高視聴率を取れるようになりました。オフ・シーズンでも多くのアイスショーが開催され、日本のみならず、世界中のスケーターが観れる時代です。これだけ人気が高まりますと、当然、競技人口も増えてきますので、若い世代のスケーター達も育ってきています。浅田選手も先の引退会見で、「今のスケート界は凄くレベルが上がってきている」とコメントしていました。あまり詳しくない人が聞くと「真央ちゃんは、もう若手についていけないから引退したんだ」と感じるんだと思いますが、決してそうではないんです。確かに、今は、ジュニアの女子でさえ、普通に3回転ー3回転のコンビネーションジャンプを跳べます。これは、数年前に考えられなかった状況ですから、凄い進歩ですし、技術の底上げは確実になされました。でも、それでも、トリプル・アクセルを跳んでくる選手やセカンド・トリプルループに挑む選手は殆どいませんから、結局、進化はしてないんです。底上げはできたけど、進化してないから、本来は点数の上昇には限界があるはずなんですが、得点だけは、何故か、どんどん上昇して史上最高点を更新してしまう。挙げ句の果てには、浅田選手が、あれだけ苦労して身につけたスケーティング技術さえも、殆ど点差に繋がらず、若手と大差ない評価をされるというような状況が続きました。要は、進化しなくても点数が出るから、誰も難しいことにチャレンジしようとしなくなってしまったんですよね。こうした採点競技の不条理を圧倒的な技術と芸術性で正面突破しようとしたのが浅田選手だったのですが、膝の怪我もあって、そして昨年の全日本選手権の採点でとどめを刺され、今回の引退の決断となりました。マスコミは、浅田選手の後継者は育っていると喧伝していますが、全く同意できません。マスコミやスケート連盟が「スターは自分たちで作れる!」と勘違いしている今の状況が続けば、確実にフィギュア人気は衰退していくと思います。

現在の日本酒ブームというのは、やはり、「十四代」などに代表されるスター銘柄を通じて、これまで日本酒を敬遠してきた消費者が日本酒の美味しさに気づき、そして多くの蔵元も刺激を受けて、こだわりを持って、より良い日本酒を造り、そして、それがまた消費者の裾野を拡大していくという好循環が続いていることによると思います。自分自身もそうでしたが、日本酒には「悪酔いする」「甘くてベトベトする」「臭い、ダサい」「親父くさい」といった悪いイメージが先行して敬遠していた人が多かったところに、フルーティーな吟醸香のする美味しいお酒が広まったことで一気にブレイクしました。しかし、確かに、以前と比べれば美味しいお酒は圧倒的に増えて業界全体での「底上げ」はされたのですが、一方で、例えば、香りの高いお酒を造る酵母を使えば、ある程度のお酒ができてしまうという現実もあります。葡萄の種類によって香りや味わいの違いが明確であるワインと違って、もともと日本酒は、お米や水という原料に由来する味や香りの違いを感じづらいお酒ですから、業界で「インパクト系」と呼ばれる最初の一杯目だけ香りと味わいが強烈に印象に残るお酒ばかりが増殖していくと、銘柄毎の個性が失われ、やがては消費者に飽きられてしまうのではないか?と危惧する部分もあります。最近は、極端に安い料金で日本酒を飲み放題で提供するお店も人気のようですが、こうした日本酒の売り方も業界全体の長期的発展という観点からは賛成できかねますね。

強い信念、こだわり、ポリシーを持った酒蔵が各々の考える理想の日本酒造りに向けて進化を続けていく、それこそが、日本酒ブームを一過性のものにしないために必要なことだと思います。自分も微力ながら、そうした浅田真央選手のような酒蔵を、今後も熱烈に応援して、日本酒の発展に貢献できればと考えています!

Mao Asada

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浅田真央選手の引退と日本酒!?” に対して 2 件のコメントがあります

  1. kibou より:

    多くの真央ファンが思っていることを記事にしてくださりありがとうございます。
    一人でも多くの、フィギュアスケートをよく知らない日本人のみなさんに読んでいただけたらと思います。
    踏切エッジエラー・回転不足の判定が全く公平でない事 も周知されてほしい。
    同じ採点競技でも公正さを求める努力をしているの体操や判定に再協議を求めることのできるレスリングなどに比べフィギュアスケートがいかに政治色の強い競技か、メダルの色、数、点数に絶対的意味や価値が存在しないことを 日本のメディアが伝えてこなかったフィギュアスケーター浅田真央の素晴らしさを知ってほしいと思っています。

    1. sakemove より:

      kibou様、コメント有難うございます!フィギュアスケートって、本当に難しいスポーツですよね。採点やメディアの扱い方など、納得できないことが山ほどあって、ファンとしてもストレスを感じることが多かったですが、真央ちゃん自身がそれを受け入れた上で戦っているのだから!と、これまで全力で応援をしてきました。この記事でも他にも書きたいことは幾らでもあったのですが、一応、日本酒のブログですので自制しました(笑)真央ちゃんの引退を機にアルメニアのリンクの件などが、ようやく公の記事になったりしていますが、残念ながら色んな改革が進んでいくことは期待できないと思います。そして改革がなされなければ、業界全体が、ゆっくりと、でも確実に衰退していくでしょう。真央ちゃんには、引退後は、業界とは一線を画し、色々な”しがらみ”から解き放たれた形で伸び伸びと活動して欲しいと思います。そして幸せを掴んで欲しい。それをファンとして見守っていきたいと考えています。

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