乱立する日本酒関連の資格!
前回の投稿では、どんどん増えている日本酒のコンペティションについてご紹介しましたが、今回は、同じく、どんどん増殖している日本酒関連の資格について書いてみたいと思います。
日本酒関連の資格の中で、現在、最もポピュラーなものは、日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が認定している「唎酒師」だと思います。
最近は、日本酒ブームであることもあって、日本酒の品揃えに、こだわりを持った和食店や居酒屋、酒屋も増えてきて、何より、消費者側に日本酒に興味を持つ人が増えてきていることから、こうしたお店にも、日本酒に関して専門的な知識を持ち、お客様にアドバイスできる「唎酒師」の資格保有者も増えてきています。
しかし、残念ながら、まだ、ワインの世界における「ソムリエ」のような存在感を持つまでにはいたっていません。
その理由としては、
①日本酒に注目が集まらず低迷する時代が長く続き、店側も提案営業する必要がなかったこと
②日本酒は、ワインほどは合わせる料理にあまり神経質になる必要がないこと
③日本酒の香り、味わいにも違いはあるがワインほど強烈な差がないこと
④ソムリエは飲食業に携わる人(現在は流通・販売業も含む)のみが取得できるが唎酒師はオープン
⑤ソムリエの方が資格取得の難易度が高いこと
などを挙げることができると思います。
①②③に関しては、消費者側に日本酒に興味を持つ人が増えてきたことで、今後、どんどん改善していくと思います。
ワインはボトルでオーダーするケースが多いので、その際に料理との相性などについてソムリエにアドバイスを求めるのが自然な流れとして定着していて、それがソムリエの必要性を生んでいるわけです。実際、「食べログ」でも、お店情報の中で、わざわざ、
「ソムリエがいる」
という記載が入るんですよね。
一方、外食で日本酒を飲む場合は、殆どの場合が、少量づつ多くの種類を飲むスタイルですので、タイプの異なる日本酒を楽しむことはできても、料理とのマッチングを考えるところまではいかず、②や③もあって、店側も踏み込んだアドバイスをしていないところが多いのでしょう。
しかし、最近は、和食店の中でも、料理と日本酒のマッチングを考えて、個々の料理にワインをグラスで合わせていく「デギュスタシオン」のような「お任せコース」を設定するお店も出てきました。こうした動きが広がってくれば、「唎酒師」の存在価値が増しますし、何より更に日本酒の魅力が増すことで、日本酒人気の持続にもつながると思います。
④と⑤については、「趣味の延長で気軽に取得できる資格」というものを念頭においてのことなのかもしれませんが、やはり、通信講座を受ければ無試験で取得できるとか、一泊二日のコースに参加すれば必ず合格するとか、そんなコースを設けてしまっているので、「資格の価値」が問われる部分があるのは否めないですね。ワインの世界でも、「ワイン・エキスパート」という一般の人向けの資格がありますが、必ず受験しないと取得できないですし、難易度も高いですからね。
日本酒の冬の時代には、飲食店や酒販店の人だけを対象に資格を認定していたのでは、協会が成り立たたず、門戸を広げていく方に軸足を置かざるを得なかったのだと思いますが、日本酒サービスのプロというステータスを「唎酒師」という資格に持たせるためには、何か工夫をしていかないといけないのかも知れません。
そんな中、ソムリエを認定している日本ソムリエ協会が、遂に、日本酒業界に殴り込み?をかけてきました(笑)
今年から、新たに、日本酒に特化した認定制度である、
J.S.A. SAKE DIPLOMA
なるものを立ち上げると発表したのです。
どんな試験内容なのか、わかりませんが、ホームページで見る限り、一次試験が筆記で60分、二次試験がテイスティング30分、論述20分ということで、随分時間が短いなという印象はあります。
まあ、しかし、国際ソムリエ協会の会長である田崎真也さんの肝いりで始めるプロジェクトですので、自ずと注目度は高まるでしょうね。
あと、やはり、今年ですが、日本酒伝道師協会なるNPO法人が立ち上げられ、その協会が認定する「日本酒伝道師」という資格も誕生したようです。
まあ、いずれの団体も「日本酒の発展に寄与する」ことを目標としているわけですから、切磋琢磨していけば良いのでしょうが、これから資格を取ろうという人にとっては、「選択肢が増えた」というよりは、「どれを取ればいいのかわからない」という混乱を招きかねない事態となっています。
「唎酒師」という世の中に浸透した名称を持つSSIが有利な立場にいることは間違いないですが、会員数を増やして収入を得ることや、イベントやセミナーの開催だけに注力するのではなく、
飲食店業界、ホテル・旅館業界、旅行業界などと組んで唎酒師の活躍の場を創造する
といった努力をしていくべきだと思います。
まあ、でも、どの資格を取得しようが、結局は、
「本人がどれだけ自分のレベルを上げるために努力を続けられるか?」
にかかっていると思いますけどね。
私も頑張ります!
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