日本酒の都市伝説 その② ー甘くてベトベトする・匂いが嫌いー

私は、飲み会の席で、日本酒を飲まない人、敬遠している人に出会うと、必ずその理由を聞くようにしているのですが、都市伝説 その①で取り上げた「悪い酔いする・二日酔いが酷い」以外の、もう一つの”定番の理由”が、

「日本酒は甘くて、口の中がベトベトしてくる」

「そもそも日本酒の匂いが嫌

といったものです。これは”味わい”や”香り”と言う「日本酒の本質」を否定するものなので、大変深刻な事態なのですが、まずは、何故、多くの人達がそのような印象を持つに至ったのか?その理由を考えるとともに、対処法を探ってみたいと思います。

①過去の苦い飲酒体験を引きずっているケース

これは都市伝説 その①でもご紹介したような、大量の醸造用アルコールや大量の甘味料など添加物を加えた粗悪なお酒を飲んで、強烈な悪酔いと辛い二日酔いの記憶と同時に、飲んだ日本酒の甘ったるい味と、思い出したくもない臭いが脳に深く刻まれてしまい、その印象が頭から離れず、今に至っているというパターンです。かく言う私も、その一人でしたので、色んな状況を想像できます。例えば、学生時代にコンパで質の悪い日本酒を一気飲みしたり、または、友人たちを下宿に招いた鍋会で安い日本酒で盛り上がり、そのまま眠ってしまい、翌朝、異臭とともに目覚めるといった体験は誰もが?経験しているはずです(笑)

戦後の米不足時への対応として生まれた、三倍増醸酒(アルコールや添加物を加えて量を三倍に水増しして造ったお酒)は、その生産量は時と共に減少していったものの、ブレンドする形で2006年に酒税法が改正されるまでは存在していたことから、自分のようなバブル世代は口にする機会が多かったのでしょう。(因みに現在は二倍増醸酒まで認められています)

②保存状態の悪い劣化した日本酒を飲んでしまったケース

日本酒は非常にデリケートな飲み物で、その管理・保存が品質を保つ上で極めて重要です。特に、ボトルに「生」の表記がある場合には、酒質が変化しやすいので要注意です。そして、流通・保管段階において、日本酒の劣化を促す二大要因として「温度」と「光(紫外線)」が挙げられます。

まず、「温度」に関してですが、高温の状態で日本酒を保管すると、一気に熟成が進むことによって、味わいに関しては雑味が増したり、ダレた感じになり、香りに関しては「老香(ひねか)」と呼ばれる異臭が生じてきます。

そして「光」に関しては、太陽光はもちろん、蛍光灯の下でも紫外線に晒されると、まず日本酒の色が黄色から茶色に変わっていき、香りにおいても「日光臭」と言う不快な焦臭がしてきます。

実は、唎酒師の試験では、テイスティングで劣化した日本酒を、その香りで判別すると言うものがあり、私は自宅学習で受験したので、事前に様々なタイプの日本酒のサンプルが送られてきて、その中に劣化した日本酒のサンプルもあったんです。そして、試験の直前に、その劣化サンプルの匂いを嗅いだ瞬間、

「あっ、これ、自分が昔飲んでた日本酒の匂いだ!」

と思ったんですよね。そう、実家や下宿のキッチンの片隅に無造作に置かれていた一升瓶の日本酒を父親や友人と飲んだ時の匂い、いや臭いです。その頃は、一升瓶を冷蔵庫に入れるなんて発想はなかったですから(今でも困難ですが)しょうがないんですけど、自分は、こんなお酒ばかり飲んでいたのか!と、ちょっと愕然としましたね。まあ、おかげで、試験で劣化したお酒を絶対に間違えない自信はありましたけど!(爆)

もちろん、家飲みだけでなく、お店で飲む場合でも、意識の低いお店ですと、保管状態が悪くて劣化した日本酒を平気で出してくるところもありますので、居酒屋さんなどに行った際も、お酒をオーダーした後のボトルの取り扱いなどもチェックしておくと良いと思います。

さて、ここで対処法です。この①や②のケースに該当する形で、日本酒を敬遠するようになった方々へは、ベタな方法ではありますが、

「しっかりとした技術で醸された保存状態の良いフルーティーな香りのする吟醸酒系の日本酒を、やや低めの温度で提供する」

ということで、まずは「日本酒を見直す第一歩」を踏み出してもらえる可能性は高いと思います。日本酒って、こんな果物のようなフルーティーな香りがして、爽やかな味わいのものがあるんだ!という驚きを感じてもらうことで、悪いイメージの大部分を取り払われ、再び日本酒に興味を持ってもらえると思います。

問題は次のようなケースです。

③そもそも嗜好として甘い飲み物を好まないというケース

お酒は嗜好品ですから、究極的には飲み手個人の好みの問題です。例えば、ビールは「スーパードライ」しか飲まないという人もいるでしょうし、ワインの場合でも、白ワインはキンキンに冷えたドライでスッキリしたタイプを好み、赤ワインはボルドーの渋くて、枯葉の香りがするようなタイプを好む人もいます。

日本酒でも辛口といわれるものは存在し、実際、過去に「淡麗辛口ブーム」というものもありました。しかし、この日本酒の甘辛度というのが、これまた、これだけで「大きなテーマ」となってしまうものでして、ここでは詳しくは書きませんが、日本酒にはどうしても甘さというものは残っていて、辛口といっても、それは「相対的なもの」であり、かつ、人間の甘辛の感覚に大きく影響を与える「酸味」という要素に関しては、基本的に日本酒は酸度が低いものが殆どですので、ワインと比べたら甘みを感じやすく、それがどうしても気になるという人は食中酒として日本酒を選択しないということもあるのでしょう。

こういう人に、日本酒を好んで飲んでもらえるようにするのは、なかなかハードルは高いですが、最近は酸味の強い日本酒を造る酒蔵も増えてきていますから、そういった日本酒や、これも最近増えてきている呑み口がスッキリとするスパークリングタイプの日本酒を勧めてみるのも一つの方法でしょう。もちろん、日本酒自体の持つ魅力を根気よく伝えていくということが最も大切なことで、それこそが自分がやっていかなければならないことであると考えています。

 

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