酒蔵訪問:福禄寿酒造(秋田)
さて、酒庵田なかさんでの大満足の夕食の翌日、この旅行の最終日は、JR奥羽本線で八郎潟駅まで行き、そこからタクシーで10分ほどのところにある福禄寿酒造さんにお邪魔しました。福禄寿酒造さんは秋田県外では「一白水成」のブランドで知られている1688年創業の長い歴史のある蔵です。子供の頃、地理の授業で習った八郎潟が車窓から見えましたが、真っ白な雪に覆われており美しかったです。
五城目町のメインストリートに面した角地にある広大な敷地に蔵はあります。敷地内の二つの酒蔵、事務室、住宅が国指定の登録有形文化財に指定されているとのことで趣があります。
今回も、ホームページからメールで訪問をお願いし、伊藤工場長にご案内いただきました。こちらの蔵は、巨大な屋根付きの建物の中に、更に、屋根付きの蔵がすっぽり入っている二重構造のような造りになっています。確か、新政酒造さんの蔵も同様の構造だと聞いたことがありますが、この地方では一般的なのでしょうか?
長い歴史を誇る蔵には、電気のない時代に蝋燭を使って灯りを確保していた時の、燭台と、その燭台を引っ掛けるために無数の傷がつけられた柱が残っています。
主に地元消費者用の普通酒の原料米は連続蒸米機で蒸しますが、一白水成などの高級酒は木製の甑を使っているとのことでした。高級酒に関しては、保管方法にも気を使っていまして、マイナス5℃で保管できる冷蔵庫も今期から導入したとのことでした。
この他にも、品質を向上させるために冷蔵設備への投資は積極的に行なっており、醪タンクごと入る冷蔵庫、一升瓶のケースごと入る冷蔵庫などの他、今、多くの酒蔵で導入するところが増えている「酒の搾り」の工程自体も室温をコントロールできる建物の中で行うという形を、こちらの蔵でも採用しています。
東北という寒冷地でさえ、こうした温度管理を徹底する蔵が増えているのですから、温暖な地域にある蔵が、こうした設備を導入していないとしたら、その酒質に大きな違いが出てくるのは必然でしょうね。もちろん、どちらが優っているとか、そういうことではなくですが・・・。
お忙しい時期にもかかわらず、お時間を割いていただき丁寧に説明いただき、本当に勉強になりました。お酒造りに興味があればもちろんですが、そうでなくても建物を観るだけでも価値がありますし、見学者用に様々なパネルも設置してあるなど、十分に楽しめますのでオススメです。
最後に、以前、JR東日本のポスターに、この蔵の事務室が使われ、撮影のため、女優の鈴木京香さんがいらっしゃったとのことで、そのポスターは現在も蔵に貼ってありました。
是非、皆さんも行ってみてください!
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