酒蔵訪問:天寿酒造(秋田)
齋彌酒造店の見学後、羽後本荘駅から出ている由利高原鉄道に乗って、終点の矢島駅からほど近い天寿酒造さんへ。この辺りは秋田県でも雪が多い地域であり、この日も天候は悪く、残念ながら鳥海山の美しい姿は見れませんでした。乗客は地元の学生さん中心で、途中の駅も小さな無人駅が殆どで、鉄道としては経営はどうなのか?と余計な心配をしてしまいましたが、矢島駅自体は立派な駅でした。
そして天寿酒造さんの建物も立派でした。
こちらの酒蔵では、蔵見学に関しては、必ず製造部門の社員の方(含む杜氏)が案内してくださるとのことで、今回も入社3年目の若者が、マンツーマンで、1時間超に渡って、設備、工程、こだわりなどなどを説明してくださり、かつ、こちらの質問にも丁寧に答えてもらい充実した見学になりました。
東京地区では「鳥海山」ブランドが知られていますが、地元では「天寿」がメインのようです。また、天寿酒造さんでは、東京農大が分離した花酵母を使って多くのお酒を造っており、蔵の中にも、ナデシコ、日々草、マリーゴールドなどの実際に使っている酵母の分離元である花の写真と共に各々の酵母の特徴について書いてあるパネルが飾ってありました。
酒母室には入れませんでしたが、やはり掃除が徹底されていて清潔です。醪タンクも整然と並んでいます。写真右手前の小さなタンクは「初添え」という三段仕込みの最初の段階の仕込みを行うタンクです。温度管理など細かいメンテナンスが可能なので、まずは小さなタンクで、しっかり発酵させた後、大きなタンクに移して、そこに「仲添え」、「留添え」という工程を加えていくのが一般的な仕込みの仕方です。ただ、いきなり大きなタンクで仕込みをする手法もあり、それを「すっぽん」と呼ぶそうです。
蔵の一角には、大きな釜に沸々を熱湯が沸かされていましたが、これは道具を熱湯消毒するのに使うそうです。また、こちらでは、お酒を瓶詰めしたあと、出荷する前に、瓶に光を当てて、異物が混入してないかどうか、一本一本を人の目で確かめる作業をしていらっしゃるとのことです。醪タンクは密閉されていない解放タンクですので、どうしても小さな虫やゴミなどが混入するリスクがあり、蔵によっては酒粕を一般消費者には販売しないところもあります。徹底した品質管理はブランド・イメージを保つためにも必要不可欠ですよね。
蔵見学の最後には、主なお酒を試飲させていただき、気にいったものを購入できます。今回は純米大吟醸がたっぷり染み込んだケーキと、ここでしか買えない鳥海山純米大吟醸の生酒を購入しました。後日、ケーキを肴にこのお酒を飲みましたが、素晴らしく美味しかったです!当然ですよね(笑)
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