実践唎酒セミナー・清酒編に参加 ー2日めー
こんにちは。
今回は、「実践唎酒セミナー・清酒編」の2日めに関しての記事です。
2日目も、まずはテキストを使った1時間の講義からスタート。この日の講師は、酒類総合研究所出身で、現在、あの新政酒造の醸造部に在籍していらっしゃる横山直行さんで、官能評価の酒造りの現場での利用方法や唎酒の訓練方法に関してレクチャーをしていただきました。
そして、いよいよ、残り3項目の試験に入ります。
この日の最初は⑥酸味の識別です。
「甘みの識別」と試験の形式は似ていまして、ここでは「リンゴ酸」、「コハク酸」、「乳酸」の3種類の酸、それぞれについて1セット2本(うち、1本に補酸されている)が5セット、合計で15セット用意されていまして、どちらのボトルが補酸されているのかを回答するわけです。
自分はワインも大好きなので、日本酒の酸に関しても寛容?と言いますか、むしろ「個性」として好意的に捉えておりますので、日本酒を飲む際も常に「酸味」には注意を払っていましたので、この課題は自信を持っていたのですが・・・。
結果は、「リンゴ酸」の部門で2問不正解、「乳酸」の部門で1問不正解、そして「コハク酸」の部門で2問不正解ということで、15問中10問の正解にとどまり、不合格!
「甘みの識別」が3つのサンプルがあったのに対して、この「酸味の識別」は2つのサンプルからの選択、つまり5割の確率で正解となることから、12問の正解が最低合格ラインに設定されているのです・・・。
う〜〜〜ん。残念! 「唎酒マイスター」一発合格の野望はここで断たれました・・・。
この試験の制限時間は最長の60分。なまじ時間が長いので、何度も唎酒できてしまって、集中力を維持するのも大変ですし、感覚も若干麻痺してくる部分もあり、それが「迷い」を生むという悪循環もあったような気がします。唎酒には色んな意味での「タフさ」も、求めらえる重要な要素だと思います。
少し、話が逸れますが、実は、「唎酒マイスター」に関しては、受講料は54,000円と高額なのですが、
不合格の項目が8項目のうち3項目以内であれば、1項目につきまして5,400円で3年以内での再受験
が認められておりまして、私の場合、昨日の5項目を合格した時点で、既に再受験の権利は得ているわけですが、不合格の科目が増えていけば再受験の費用が、どんどん増えてしまうことになるわけなんですね。
ですから、ここで落ち込んでいる場合ではなく、残り、2項目、絶対に合格してやる!と気合を入れ直したのでした。
そして、次は⑦味の濃淡・甘辛の識別というもの。
「日本酒度」、「酸度」、「アミノ酸度」の3つの数値が大きく異なる4つのサンプル酒が用意されてまして、その味わいの違いを識別し、「淡麗辛口」、「淡麗甘口」、「濃醇辛口」、「濃醇甘口」という4つのタイプに分けるという試験です。この問題に関しては全問正解しないと合格とはなりません。
試験官の方からも、そうすべきというアドバイスがありましたが、この試験に関しましては、自分は、まず、「辛口グループ」と「甘口グループ」に分ける作業から開始。と言いますのも、4つのサンプルのうち、「日本酒度」に関しては、2つは「+15」、残り2つは「ー15」という感じで極端に違っている設定なので容易に識別できるんですよね。
日本酒の甘辛の識別に大きな影響を与えると言われている「酸度」に関しては、今回の4つのサンプルに関しては、その差が0.4ということだったので、自分はあまり意識しませんでした。
さて、「甘辛」のグループ分けができたので、次は「淡麗」か「濃醇」かの識別です。それは、当然「アミノ酸度」の違いによって識別する分けですね。このサンプルの場合、2つに関しては、「グルタミン酸ナトリウム」を1000ppm添加しているということなので、その人工的に加えられた「旨味」を舌で感知する必要があるわけです。
この試験の制限時間はサンプル数が少ないので30分。
「酸味」の試験での失敗の経験を活かして、あまり回数多く、唎酒をしないよう心掛けようと思っていたのですが、どうしても、やってしまうんですよね(笑)。自分は「甘口」の「濃淡」に関しては全く迷いませんでしたが、何故か、「辛口」の「濃淡」の識別で、途中で迷い始めて、最後の最後まで悩みましたが、何とか正解することができて合格!
「淡麗辛口」と「濃醇辛口」なんて、容易に識別出来そうなのに不思議ですよね。だって、世の中に「濃醇辛口」のお酒なんて、そもそも、あまり存在しないし、あったとしても「辛口の割には旨味もある」という相対的な比較におけるものであって、今回の試験のように人工的に大量の「旨味成分」を添加したものとは全然違うはずなんですよね。でも、それでも、何故か、迷いました・・・。
まあ、でも、良かった!。
ここで、昼食タイム!例によって、刺激物は食べないように!というお達しがありまして、自分は、駅の近くの居酒屋さんのランチを食べたのですが、これが本当に優しい味付けでグッド!午後の試験に向けてパワーをもらいました。
そして、最後の試験「⑧タイプ別清酒の特徴の記憶」です。
用意されているサンプルの数は10。「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」「低アルコール酒」「甘口酒」「辛口酒」「原酒」「生酒」「生酛づくり」「多酸酒」の10酒類です。
これも、⑤香気特性の記憶と識別の試験と一緒で、片方のテーブルにはお酒のタイプが表記されているボトル10本が置かれていて、それを、もう片方のテーブルに置かれている番号だけ表記されているサンプルとマッチングさせるという形式です。
この試験の制限時間も60分。
「吟醸酒」「生酒」といった香りや味わいに特徴があるものは、比較的容易にわかるので、まずは、そこを埋めていき、次に「甘口」「辛口」、そして「原酒」「低アルコール」といったものが識別しやすかったですね。「純米」と「生酛」は最後まで迷いましたが、なんとか全問正解でクリア!
年によってサンプルに使うお酒も変わるのでしょうから、難易度も変わるとは思いますが、最低合格ラインは4問正解ですので落ち着いてやれば不合格となることはないでしょう。
そして、「唎酒マイスター」の合否に関わる唎酒の試験は、ここまでなのですが、実は、最後に、もう一つ⑨特徴ある市販酒のきき酒という項目があります。
吟醸酒2種類、純米酒2種類、本醸造酒2種類と長期貯蔵酒、低アルコール酒、発泡性低アルコール酒の計9種類の日本酒が銘柄を明示しないで用意されていまして、参加者が各自、自由に30分間試飲するというものです。
まあ、「二日間、お疲れ様!」ということで、参加者同士でお互いを労いながら、そして懇親を深めながら日本酒を楽しむという意図なのかもしれませんが、皆んな、結構、疲れてますし、合否もわかっちゃってるのでイマイチ盛り上がりには欠ける感じでした。
そして、その後、講義が行われていた場所に戻り、試験結果に対する総評が述べられ、参加者一人一人の名前が呼ばれて、醸造協会の会長から「受講証明書」が授与されます。ここで、合格者は「唎酒マイスター」の称号が与えられることが紹介されるわけですね。結局、今回の合格者は6名でしたので、やはり合格率は20%でした。
個人的な意見としては、唎酒能力の向上のためには、試験毎に正解を発表して、間違ったところを、その場で確認できることは必要だし良いことだと思いますが、各項目の合否のラインは明示しないで、最後の最後に合否を発表する方が良いのではないか?と思います。
結果としては残念でしたが、自分の唎酒の能力を試す非常に良い機会になりましたし、講義で教えてもらったことを、日頃、日本酒を飲む際に常に意識すれば、更なる唎酒能力の向上に繋がっていくのではないかと思いますので、参加して良かったです。それと、やはり、残り一科目ですので、来年、再受験してマイスターを取得したい!と思います。
そして、全てのカリキュラムが終了した後は、希望者に対しては、旧醸造工場の見学ツアーがありました。
歴史を感じる建物ですが、今でも、いつでも日本酒の研究醸造ができるように整備だけは続けられているとのことです。
建物の奥の貯蔵庫では、多くの酒蔵の酒が貯蔵されていました。これは「日本酒100年貯蔵プロジェクト」というもので、2005年に始まり、10年毎に、その変化を分析・確認していくというものです。選ばれている蔵は、やはり長期熟成に耐え得るお酒を造っているところばかりでした。
ああああ、でも、やっぱり悔しい!!!マジで悔しい!!!
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