日本酒のトリプル・アクセル?

お酒に関する難しい話ばかり書いていてもなんなんで、今日は、ちょっと、またフィギュア・スケートと日本酒の話です(笑)

まだ浅田真央選手が引退を発表する前の、3月8日に東京の品川で開催された「秋田のお酒きき酒会」に参加した時のことです。

色んな酒蔵のブースを廻っていた時に、当時、真央砂漠(日本酒ファンの方、すいません。真央ちゃんの動向に関する情報がなくてファンの気持ちがモヤモヤしている時期をそう呼ぶんです)に苦しんでいた私の目に、不意にテーブルに置かれたパンフレットに印刷された「ある文字」が飛び込んで来ました。えっ???

「トリプル・アクセル」

確かに、そう書いてある。。。その瞬間、私の「真央ファン脳」にスイッチが入りました。

「何だこれ?、何で日本酒でトリプル・アクセルなんだ?」

まあ、そんな事はどうでもいい、とにかく欲しい!という事で、酒蔵の人に話を聞いたところ、発売は7月上旬の予定とのこと、自分は酒屋でもないし、仕入れの交渉もできない・・・でも欲しい、ぶっちゃけ味なんてどうでもいいわけです(違!)

それで、少し頭を冷やし冷静になって質問をしてみました!

私「日本酒にフィギュア・スケートのジャンプの名前をつけるという事は蔵元さんがフィギュア・スケートの大ファンだったりするんですか?」

酒蔵の人「いえ、特にそういうわけじゃないです。酒造りにおける重要な工程である酒母造りにおいて、お米をドリルを用いて、すり潰すことから”ドリルがkurukuru 回る=フィギュア・スケートのジャンプでくるくる回る”ということからのネーミングです」

私「えっ?そうなんですか。。。」

以上。

うーーん、何だか、ちょっと残念。

でも、フィギュア・スケート・ファンであり、かつ日本酒を応援していくという自分にとっては、これで終わるわけにはいきません!というわけで、パンフレットを見ながら少し解説してみますね。

しかし、これ、実は、日本酒の造りの工程にかかわる専門用語がてんこ盛りなんですよね。まあ、取り敢えず説明していきます。

まず、四種類とも、左下に書いてありますように、同じ秋田酒こまちという酒造好適米100%を原料とし、お米の削り具合(精米歩合)も、アルコール度数も同じの純米吟醸酒、すなわち全く同じスペックで、その熟成度合いと、濾過・火入れ(低温殺菌処理)の有無によって、ネーミングを変えているものと思われます。もとは、同じタンクで仕込んだものなのかも知れません。(未確認)

まず、シングル・ルッツ。これは、フィギュア・スケートにおいては完全な失敗ジャンプです。真央ちゃんの演技で、トリプル・ルッツの予定のところが、シングル・ルッツになったりしたら、我々ファンの心臓は止まりそうになりますからね。正に縁起でもないネーミングですので、フィギュア・スケートのファンは、買いづらい商品だと思います(でも完売です)。では、どんなお酒だったのか?ですが、これは「搾りたて生」とありますので、正に、出来たて、搾りたてほやほやの、若々しい新酒のフレッシュな味わいを楽しめるお酒だったのでしょう。

続いて、ダブル・トーループ。これも、3回転ジャンプが当たり前の現在、フィギュア・ファンにとっては、かなり微妙なネーミングです。でも、まあ、コンビネーション・ジャンプの二つめ、もしくは三つめのジャンプであれば問題ないですけどね・・・。それで、こちらは、「無濾過生」ということで、お酒の色や味わいの調整をするためにフィルターや活性炭を使って行う「濾過」という工程を行なっていない、フレッシュで、荒々しい部分も残した「春に飲む霞酒」という位置付けでしょうか?こちらも、既に完売のようです。

そして、いよいよ注目のトリプル・アクセル!浅田真央ファンとしては思い入れが有り過ぎるくらいあるジャンプですので、お酒も、そのネーミングに通じる特性があって欲しいのですがどうでしょう?

こちらは「一回火入れ」となっていますね。「火入れ」とは、お酒を60〜65℃の低温で加熱することによって、酵素の働きを止め、酒の劣化の原因になる火落ち菌などを殺菌する工程で、通常2回行われます。(詳しくは工程説明の時に触れます)

火入れを行っていない、シングル・ルッツやダブル・トーループは「生酒」と言い、やや粗さは感じるものの、フレッシュで、ピチピチしているのがセールスポイントで、フィギュア・スケートで言えば、若さからくる勢いや可愛らしさはあるものの、まだスケーティングには円熟味がない小生意気な?(これは選手に依りますが)若手といったところでしょう。

それに対して、こちらのトリプル・アクセルは一度だけ火入れすることで、酵素の働きを止め、お酒を安定化させ、更に7月まで貯蔵することで、

フレッシュさを保ちつつも、円みを帯びた柔らかい味わいも持つお酒

になっているはずで、これは正に、

少女の可憐さと、大人の女性が持つ艶の両方を併せ持つ浅田真央

という稀代のスケーターに重なるものであり、その彼女が、こだわり続けたジャンプの名前になっているわけですから、素晴らしいネーミングじゃないですか!

何とかGETして、夏の真央ちゃんのアイスショー観た後に、キリリと冷やした状態で飲みたい!

 

最後に四回転サルコウですが、「ひやおろし」とありまして、これは、上記のトリプル・アクセルを更に9月まで熟成させたものですね。ここまで来ると、かなり味もまろやかになり、旨味も乗ってきますから、フレッシュさよりも円熟味の方が勝ってきます。「ひやおろし」は「秋あがり」とも呼ばれ、日本酒の季節商品として、毎年秋に大々的に売り出されますので、聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか?

そういう意味では、このkurukuruシリーズ、

シングル・ルッツ ➡︎ の新酒

ダブル・トーループ ➡︎ の霞酒

トリプル・アクセル ➡︎ 

四回転サルコウ ➡︎ あがり(ひやおろし)

と、正に季節毎に楽しめるお酒ということになっているんですね。そして、お酒の熟成による味わいの変化がスケーターの成長過程にもダブるところがあって興味深いです。正に、スケーター、浅田真央は、これから、更に円熟味を増した素晴らしい演技を我々に見せてくれることでしょう。何分、飲んでいないので何とも言えない部分もありますが、素晴らしいコンセプトだと思います。ボトルのデザインもオシャレです。

実は、醸造元の蔵に問い合わせしてみたのですが、やはり、トリプル・アクセルは、このシリーズの中でも特に人気が高くて、私のような個人はもちろん、酒販店さんからの購入申し込みも断っている状況とのことでした。

アイスショーのチケット同様、入手困難ということですね・・・(泣)

シングル・ルッツ

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