酒蔵訪問:青木酒造(茨城)

またまた、酒蔵訪問の投稿です。今回は、2月にお邪魔した茨城県古河市にある青木酒造さんです。昨年秋に、東急百貨店日吉店の酒売り場の販売会に、専務の青木知佐さんがいらしていて、その場で酒蔵訪問をお願いしたところ、快諾していただき、3ヶ月間「その日」を心待ちにしての訪問でした。

青木酒造は、「御慶事 純米吟醸 ひたち錦」が、昨年の春にロンドンで開かれたインターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)の SAKE部門の純米吟醸の部で第一位に輝くなど、近年、メキメキと、その評価を上げてきている酒蔵です。

この急激な変貌は、4年前に、私も大好きなお酒である寫楽を醸している会津の宮泉銘醸で長らく酒造りに携わっていらした箭内杜氏が青木酒造に移籍してきてから始まりました。酒造りは箭内杜氏を含めた僅か3人で行なっているとのことで、その3人が酒造りの期間中は仕切りのない一つの部屋にベットを並べて一緒に寝泊まりしているというのですから驚きです!箭内杜氏は「酒造りの現場の雰囲気が酒の味に出る」という考えで、とにかく”和”を重んじ、笑いの絶えない現場を心掛けていらっしゃるとのこと、まさに寝食を共にすることで、それが可能になってるんですね。

青木酒造 外観

敷地内には、昭和40年代に先代が建てた5階建の鉄筋コンクリートのビルが建っています。上の階から、「洗米→浸漬→蒸し→製麹→酒母造り→醪仕込み→貯蔵→搾り」と酒造りの工程通りにスムーズに合理的に作業ができるように機器が配置してありまして当時としては極めて革新的な設備だったと思われます。恐らく、地元消費者向けの普通酒を大量に醸造するのには適していたんだと思います。

しかし、もともと設備の老朽化が激しい所に加えて、現在は年間生産が400石と大きく減少し、しかも、醸すお酒が以前の普通酒主体から特定名称酒主体へと大きく変わったことから、既存の機器や広いスペースを有効活用出来ていない部分もあるとのことでした。

麹室

洗米機も導入し、麹室も新装するなど、急ピッチで投資もされているようですが、醪タンクが一階のスペースに、かなり窮屈な感じで並んでいたりして、まだまだ改善の余地はありそうです。

醪タンク

下の写真は今期から導入した「パストゥライザー」という新兵器。瓶燗火入れをする機械なのですが、通常の瓶燗火入れの機械と違って、栓をしてしまってから火入れを出来るので香りの成分を閉じ込めておける効果があるのだそうです。初めて見ました!

パストゥライザー

さて、酒造りに話を戻しますと、この蔵では、基本ポリシーとして「オール茨城」を掲げていらっしゃって、原料米も茨城産の「ひたち錦」がメインで、酵母もM310、SYSといった地元で分離、または開発された酵母を使用しています。ただ、色々なチャレンジもしていて、低アルコール酒の醸造も行なっていますし、原料米についても、兵庫産の山田錦を使ったお酒も造っていますし、今後は岡山産の雄町を使ったお酒も造っていきたいとのことでした。

お楽しみの試飲

ちょうど、お邪魔した頃に、「dancyu」の3月号に箭内杜氏を取り上げた記事が載り、3月にはTVのモーニングショーで約15分間に渡り、青木酒造と知佐さんが取り上げられ、御慶事 純米吟醸がIWCで第一位を受賞するシーンまで流れたことで、それ以来、TV視聴者からの注文が殺到し、ネット販売も一部停止に追い込まれ、毎日、手作業で大量の梱包・発送を行う大忙しの日々が続いているとのことで、実は、つい先日、私も一日だけですが、ラベル貼りと梱包作業を手伝いに2回目の訪問をしてきたところです。

今は、まだ、本当に家族経営の小規模な酒蔵ですが、その人気が高まるにつれ需要も一気に膨らんできていて、上述したように、設備面での投資余地が大きいだけに、数年後には、またとんでもなく変貌した姿になっている可能性もありますね。

でも、こんな私を暖かく迎えてくださった知佐さんをはじめとする青木家の方々、そして箭内杜氏のお人柄、確かな技術がある限り、「飲む人々が柔らかい表情になる美味しいお酒」が醸し続けられていくことでしょう。

御慶事 純米吟醸

<おまけ>

古河には、美味しい蕎麦屋さんがたくさんあるのですが、先日、お手伝いに行った時に知佐さんに連れて行ってもらったのが「そば善」さん。お蕎麦屋さんなのですが、ローストビーフ丼が絶品!週末限定のラーメンも最高らしいです。そして、何より、驚いたのは日本酒のメニューが凄く充実していて、しかも、お値段が恐ろしくリーズナブルであることです。十四代、寫楽、田酒、もちろん御慶事などの有名銘柄が、たっぷり1合入って、500円代〜という感じでございました。もちろん、この日は作業中のランチで行ったのでお酒はなし(泣)ああああ、こんなお店が地元にあったらなあ!お近くの方は是非、行って見てください。もちろん、おつまみも美味しいそうです。

 

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