酒蔵訪問:寺田本家(千葉)

今回もブログ開始前に、今期訪問していた酒蔵を紹介していきます。今回は千葉県香取郡にある寺田本家です。ホームページ上で、酒蔵訪問者を募っていらっしゃったので、そこに応募して訪問が実現しました。申し込みの際、2,000円の発酵弁当なるものをオーダーするかどうか?を尋ねられ、せっかくですのでお願いしました。

そして、この発酵弁当が地元の無農薬野菜を酒粕、塩麹、味噌などの発酵食品、発酵調味料を使って味付けしたヘルシーかつ絶品のものでした!蔵元の奥様はレシピ本まで出されている本格派で、このお弁当目当ての女性も多くいたようです。

大人気の発酵弁当

寺田本家は創業340年を超える超老舗の酒蔵です。寺田本家のお酒のキーワードは「自然」で、

米:契約栽培農家及び自社保有田で育てる農薬、化学費用を使用しない自然米

水:蔵の裏手にある神崎神社の森から湧き出る井戸水

麹:自家田から採取した稲麹を自家培養したものを使用

酵母、乳酸菌:市販のものは一切使わず、いずれも蔵付きのもの

といった具合で、当然、純米・生酛造り、勿論、添加物は一切不使用で、

自然の力で醸した生命力あふれる、飲んで楽しく元気になるお酒

を造るというポリシーのもとで酒造りが行われています。

24代目蔵元の寺田優さんと洗米をしている蔵人たち

さて、食事が終わると、いよいよ蔵に行きます。いきなり、入り口近くで蔵人達が大きな掛け声をかけながら冷たい水で洗米作業をしていました。こちらでは、洗米機は使わず、全て人の手で洗います。

そして、麹室。こちらの麹室は壁、天井、床の内部に約5トンの備長炭が使われて覆われており、マイナスイオンを出す効果もあるんだそうです。

驚いたのは、この麹室で見学者に自由に製麹中の麹米を手で取って食べさせてくれたことです。酒母室でも、経過日数の異なる酒母を柄杓ですくって試食(試飲?)させてくれて発酵度合いの違いによる味や香りの違いが実感でき、本当に貴重な経験ができて有り難いのですが、一方で、参加者からも「自分たちがお米に触ったり、こんな試飲をしたりして大丈夫?」という質問が出たのですが、仮にそういったことで雑菌が多少混ざり込んでも、それに負けない、またはそれを取り込んでしまうくらい強い生命力を持った麹や酵母なので問題ないとの説明がありました。すごいですよね。

麹室

誤解なきように念のため書きますが、自然に任せるおおらかな酒造りですが、蔵内は清掃が行き届いていて極めて清潔な環境です。

酒母造りも、当然自然任せで、天然蔵付き酵母と天然の乳酸菌を取り込んでの生酛造りですので、酒母の完成までは通常の2倍以上の50日ほどかかるそうです。これまたビックリです。

醪タンク

このタンクの中の元気に発酵している醪の泡を見てください!力強い生命力を感じます。因みにこの泡も食べさせていただきました(笑)こちらでは、基本的に「完全発酵」を目指しているとのことで、醪での発酵日数も30〜40日と通常の蔵よりも長目になるそうです。

そして蔵見学が終わると試飲タイム!蔵が造っている殆どの日本酒を順番に飲める他、お米と水からつくったマイグルトというノンアルコールの乳酸発酵飲料もいただきました。

私は、オーガニックレストランにオンリストされていることが多い「香取」を何度か飲む機会があったのですが、色は黄色ですし、華やかな香りがあるわけでもなく、酸味が効いていて酸っぱいので、最初は「おっかなビックリ」という感じで飲み始めたのですが、次第に体に染み入るような感覚を覚え、全く飲み疲れしないし、食べ物にしっかり寄り添ってくれて、究極の食中酒といった感じなんですよね。個性的なお酒ですので、勿論、好みは分かれると思いますが、ハマってしまうと他の酒は飲めないという熱烈なファンも多いお酒です。

今回の試飲で、この香取の他にも、更に個性的で魅力的なお酒がたくさんありましたので、今後、自分のセミナーなどでも紹介して行きたいと思います。

前回ご紹介した仁井田本家と、今回の寺田本家。どちらも「自然酒」を目指していていらっしゃる蔵ですが、寺田本家さんの方がより酒造り、酒質共に、より「野生」を感じます(笑)

日本酒って本当に面白いですね。

敷地内にはニワトリが放し飼いに

酒蔵入り口の表札

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